ペーター・シュミードルさん

インタヴュー(2) インタヴューその1

来日140回!!!

 
──シュミードルさんはお酒は好きですか?
 
「正直言うと。ハイ(笑)。
ウィーンから来た私に、ワインは好きですか?と聞かれると、期待されている答えとしては、ヤー、なんですけれども、私はワインはそこまで好きではないです。
 
一番好きなのは日本のビールです。しかもマイナス2度くらいに冷えているビールは美味しいですね。あとは日本酒も好きです。
 
何と一緒に飲むのか、ということも大事です。場所も大事。あと、赤ワインも一杯くらいは飲みますが、ウィーン人らしくないのは、白ワインを飲まないことですね(笑)。
 
自分の世界はワインではないですね。ビールですね。でもビールにおぼれることはないです(笑)。いつもほどほどが好きです。」
 
──シュミードルさんは、数え切れないくらい日本にいらしていると思いますが。
 
「140回来ました。」
 
──エッ!?
 
「ただ、それを大きな声で言うと、日本語は?ということになるので、あまり言いませんが(笑)、私は日本語で話されている言葉はだいたい聞いて分かっているんですよ。ただ、私がしゃべる方がまだ不十分で40パーセントくらいかな。」
 
──それにしても140回というのは、凄い数ですね。
 
「私が今25歳だとしたら140回というのは凄い数ですが、私が初めて日本に来たのは1973年です。それから40年経ちました。年によっては2~3回の来日ということもありましたし、最近は6~7回、10回来たこともありました。ですから140回は妥当な数だと思います。
 
皆さん、そんなに旅行したら大変でしょう。時差ぼけとか大変でしょう、とよく言われますが、時差ぼけというものは、気の持ちようで、寝られなければ寝なければいい。
 
あと12時間も飛行機に座っているのは大変でしょう、とよく言われます。でも、いい席をいただいて、12時間そこで過ごすことはとても楽しいです。成田に着くと、ああ、成田に着いたなぁ、と懐かしく思うんです。
 
旅行だけでなくて、生活に対しても、そしてすべてが、自分の気の持ちよう、それにつきると思うんです。疲れているとか、食事が美味しくないとか、ホテルの部屋が狭いとか、そういうことはたいしたことではないです。
 
病気とか、家族に問題が起きたとか、そういうことは大変なことですが、それ以外のことは、たいした問題ではない、と私は考えています。考え方次第です。」
 

6カ国語を話す!!!

 
──お休みの日は何をされますか?
 
「日本語を勉強しています。けっこういろいろな言語をしゃべるんです。イタリア語、英語、ポーランド語、ロシア語、スペイン語も。楽しいんです、言語を勉強することが。スポーツも好きです。体を動かすことと、習うことが大好きです。
 
ファッションとかにはあまり興味はないです。食べるものもそんなにこだわりなく何でも食べます。それより、仲間と一緒にいる方が楽しい。
 
シンプルなものを食べていても、楽しい雰囲気で味わって食べるのが好きです。 勿論、私は、妻を一番愛しています。でも凄く難しいところもありますが(爆笑)。」
 
──それは世界共通なのでしょうね。
 
「僕とちょっと性格が違うので。でも、それはむしろ大事なことかもしれない。」
 

文化と技術、ベストを尽くして皆様にお伝えします

 
──聴衆にメッセージを。
 
「皆さんの為に演奏することをいつも私は心より喜んでいます。それは私たち演奏家が家族同様の親戚づきあいをしているから、ということもありますし、好きな音楽を好きなように演奏させてもらえるから、ということもあります。
 
そして私達が演奏中に味わっている喜びを、聴いている皆さんに伝えることができれば、喜びはそれに尽きます。皆さんは、どうぞ、存分に音楽を味わい、楽しかったという思いと共に会場を後にしてください。初めて行ったけど、コンサートは楽しいから、また今度別のコンサートにも行ってみよう、と思っていただければ幸いです。
 
たぶん、音楽会というのは、トヨタさんが作っている素晴らしい技術の車と同じだと思います。レクサスもあれば、他の車もある。その楽しみ方というのは、乗った方がそれぞれ感じるものでしょう。気持ちの良さは、それぞれにあると思います。
 
じゃあ、もう一度乗ってみよう、という楽しみと喜び、それはとてもシンプルなものだと思います。 私達は文化と技術、それをベストを尽くして皆様にお伝えしますので、どうぞ、それを受け取って、皆様も世界に貢献してください。何かしら世界に喜びを伝える、という貢献を私達のところから持っていってください。
 
日本人は、喜ぶこと、楽しむことが上手だと私はいつも思っています。テレビを見ていると、食べ歩きの番組とか、美味しいものを食べる番組、たくさんありますよね。日本の人というのは、口に入れて、凄く美味しそうに味わって、美味しい、と表現します。そして顔がアップになったりします。その顔を見たい、というのもあると思います。
 
ただ、西洋で同じようなことをすると、パクッと食べて、うん、美味しい、で終わり(笑)。でも日本人は表情から何から、すべて味わいを表現している。
 
音楽を味わうのももの凄く上手だと思います。お客様を見ていると、寝ているのではないか、とたまに思うことがありますが、それは至福の時で、温かい空気とか匂いのように、味わってくださっているのだと思います。 お客様が本当にトヨタのシリーズを楽しんでくださることを心から願っております。」
 
取材:アッコルド
「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン」の芸術監督として
ずっと中心的役割を担ってきた
世界的クラリネット奏者のペーター・シュミードルさんに
今回は、個人的なことを中心に話をうかがった。

トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンの芸術監督に訊く

ペーター・シュミードル

(芸術監督・クラリネット)

 

オルミュッツに生まれる。

祖父、父、本人と3代にわたってウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を務めている。

 

ウィーン国立音楽大学でルドルフ・イェッテル教授に師事し、1964年卒業。65年にウィーン国立歌劇場管弦楽団、68年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に第1クラリネット奏者として入団、82年より第1首席奏者となる。

 

ソリストとして、これまでウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団、指揮者のベーム、バーンスタイン、プレヴィン、レヴァイン、ムーティ、小澤征爾の各氏等と共演。

 

また、室内楽奏者として、新ウィーン八重奏団、ウィーン木管ゾリステンのメンバーを務めている。

 

84年ザルツブルク功労金勲章を、91年オーストリア芸術名誉十字勲章をそれぞれ受章。

 

音楽教育家としても名高く、ヨーロッパだけでなく、日本においても数多くのマスタークラス(草津夏期国際音楽アカデミー、パシフィック・ミュージック・フェスティバル-PMF)を開催し、後進の指導に貢献している。